AIとの付き合い方

今回はAIとの付き合い方について紹介します。

皆さんの生活の中に浸透し始めているAIですが、実感はあるでしょうか?

天気予報や、スマホでリコメンドされる広告、音声入力など、AI技術は部分的に活用されて、生活の中に浸透し始めています。
車で目的地まで移動する際にカーナビとGoogleMapとを比較してみると、到着予想時刻の精度で圧倒的な差も体験できます。


高まるAIへの期待


こういったAI技術については非常に期待が高まっており、様々な企業が自社の課題解決にAIを活用できないか検討しています。
このような取り組みは4年ほど前から様々な企業で積極的に検討され、今ではAIをうまく活用できている企業もいれば、期待外れで頓挫してしまった企業もあります。

この差は、AI技術そのものだけでなく、これまでのデータ活用への取り組み度合いによることが多いと考えています。


AIは万能ではない


AIにも得意分野と苦手分野があります。
ポイントは2つで、「データが大量にあること」、そして「導き出す答えが明確であること」です。

例えば、GoogleMapの到着予測時間の精度が高いのは、大量のスマホユーザのGPSデータから、車の走行実績データを活用するからです。
一方で、カーナビは、主要な道路に設置する交通量センサーのデータを活用します。
GoogleMapは、交通量センサーの設置していない道路の混雑状況まで把握できるため、既存のカーナビよりも圧倒的なデータ量で優位に立てます。
そして、導き出す答えも「到着予想時刻」と明確な為、AIが非常に得意とする分野です。

導き出す答えが明確ではない場合、AIは苦手です。
例えば、個人の嗜好に合ったリコメンドの場合、その個人の嗜好を導き出すロジックが明確に定義されていないとリコメンドする事はできません。

AIの活用がうまくいかない事例では、「過去のデータが大量にない事」や、「導き出す答えが明確でない事」が原因であることが多いのです。
特に、後者の「導き出す答え」については、その分野の熟練者でも意見が分かれるような問題は、「導き出す答え」が明確になっていないため、AIの活用も難しくなってしまいます。
反対に、その分野の熟練者であれば答えが一致するような問題は、AIの得意分野です。
熟練者が同じような判断をするという状況であれば、「導き出す答え」が明確なため、よりAIとの親和性が高くなるということです。

また、視点を変えて、“正解を求める事”を「導き出す答え」とはせずに、“失敗を無くす事”に目標を変えるアプローチもあります。
熟練者でも正解については意見が分かるような問題でも「明らかな不正解」は意見が一致することが多く、「導き出す答え」も明確になります。
例えば、個人によって嗜好が大きく異なる「美味しい」料理を導き出すのは難しいですが、「おいしくない」料理(塩っぱ過ぎる、味がないなど)については、判定しやすいでしょう。

このように、AIの得意と苦手を正しく理解することが、AIをうまく活用するための大切なポイントです。


日々成長するAI技術


AIは日々進化しています。

先ほどは大量のデータがある事が重要といいましたが、この大量のデータを集める分野でもAIの研究は進んでいます。

例えば、人の動きを把握する技術については、10年前にMicrosoftで開発されたKinectという専用デバイスが注目されました。
このセンサーは、カメラに加え、距離センサーを組み合わせる事で、センサーの前に立つ人の動きを把握できるようにするデバイスでした。
しかし、これらのセンサーが比較的高価で、取得したデータ形式も特殊だった為、大量のデータを集めるには非常にハードルが高く、思うように普及しませんでした。

最近は、カメラの動画から人の動きをセンシングする研究が進んでいます。
専用センサーとは違い、過去の大量の映像データから学習することができます。
この技術は研究が進み、基礎技術が公開されています。
Apple社がAI部品の「CoreML」の1つのサービスとして提供していることもあり、手軽に使える技術となっています。

https://developer.apple.com/jp/machine-learning/models/
(出典:Apple社CoreML紹介ページ)

この技術の強みは、これからデータを集めるのではなく、過去の映像データから大量の実績データを作り上げることができる点です。
しかも動画データは専用のデバイスが不要な為、あらゆるデバイスで撮影した動画データさえあれば人の動きをデータ化できます。

このように画像を活用したAI技術開発やカメラのセンサー化が今後も進むでしょう。


AIはまだまだ黎明期


AI技術はまだまだ黎明期で、これから技術発展が加速する分野です。

これらのAI技術を活用する立場として気を付けておくべき事は、AI技術に期待しすぎず、そして幻滅しすぎすに、「データを集める事」、そして「導き出す答えを明確にする事」に挑戦し続ける必要があるということです。

AI技術を使う事を目的にしてしまうと、その技術に幻滅した途端に活動は停止してしまいます。

目的や導き出す答えが明確になっていれば、その目的を達成させるために、どのようなアウトプットが欲しいのかが明確になります。
このアウトプットが明確であれば、無闇に最新技術の動向に振り回されず、それぞれの技術を使えそうか使えなさそうか判断するスピードも速くなります。
また、こんなアウトプットが欲しいが、デジタル技術で実現可能かどうかも投げかけることができるでしょう。
優秀な技術集団であれば、自社でできない場合も、横のエンジニアの繋がりから適切な技術者や会社を紹介してもらえるチャンスもあります。

自分たちの「導き出す答え」を導き出す技術が、実は「AI」ではなく、使い古された技術であるかもしれません。
(その場合は、コストもリスクも低く実現できます。)


データから答えを導き出す流れは停滞しない


AIへの大きな期待は一過性のものなものかもしれません。
しかし、データから答えを導き出す潮流は、BIツール、BigData、AIと、IT業界では一貫して継続している取り組みです。

同じ事例を表現する言葉が、“BI”、“BigData”、“IoT”、そして“AI”へと流行に合わせて変わっているだけで、データから答えを導き出す本質は変わっていない場合もあります。
実態としてはデータから答えを導き出す取り組みを続けているのに対して、周りから表現される言葉が変わっただけとも言えます。

AIに過度な期待をせず、データから答えを導き出す取り組みを継続する事が、今後も発展し続けるデジタル技術との付き合い方なのではないでしょうか?

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